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大分×マルハン
最近、サッカー雑誌『サッカー批評』を買い、その中の「揺れる大分トリニータ胸スポンサー問題」というコラムが非常に興味深かったので、今回はその事について。まあ多くが誌面の受け売りなんですが。
まずこの問題について簡単に説明を。 事の発端は2005年。それまで大分の胸スポンサーだったレコードレーベル・企画会社トライバルキックス(代表・小室哲哉)がスポンサー料未払い問題を起こし、大分の債務超過が表面化してチームが存続の危機に立たされた。 この危機に対し、まずは大分県スポーツ文化振興財団が資本を融資。さらに大分は総合レジャー企業・マルハンへ胸スポンサーの依頼を行い、05年7月1日から07年1月31日までで約4億円のスポンサー契約料を結んだ。この際、パチンコホールを経営するマルハンがスポンサーに就くことはJリーグの規定に抵触するのではないかとの指摘があったが、Jリーグはこれを「特例措置」として認めた。 さらに経営に苦しむ大分はマルハンとのスポンサー契約料の増額を要請し、マルハンもこれを了承していたが、Jリーグはこれを内諾しなかった。そこでマルハンは06年2月1日から12年1月31日までの6年間の年間シート1266席を購入し、都合6年間で3億円の複数年契約がなされた。 こうしてマルハンの多大な支援もあり大分はこの危機を脱したのだが、問題はここからである。 06年12月にJリーグから「特例措置」の期限が終了したという回答がなされた。Jリーグは、「テレビ放映の規制等の問題より来期以降のユニフォームスポンサー継続は難しい」という見解を示し、特例期間の延長はしないということだった。これにより07年1月31日でマルハンはユニフォームスポンサーから外されたのだが、それでも同07年シーズンからは「スペシャルスポンサー」として大分と契約を結び、企業名提出場所は胸スポンサーではなく練習着やホームタウン看板へと変更された。また、マルハンは大分FCが企画する「ブルーシティプロジェクト」にも協賛金を出しており、マルハンの大分トリニータへの支援金額は総額で推定12億3千万円にもなっている。 そして大分は07年から胸スポンサー部分が空白のユニフォームで戦い、また今年の7月には、07年に大分県内で発足した「トリニータ・スポンサー問題を考える会」が35万人もの署名とともにJリーグへ質問状を提出した。 これが大分のスポンサー問題である。 そしてコラムではこの問題を考えるに際し、マルハンの代表取締役会長の韓晶祐(ハン・チャンウ)氏へのインタビューを含め、マルハンという会社を知るという視点を中心に書かれている。 まず、マルハンという会社についてだが、この会社は現在、2兆円企業に到達せんばかりに成長を続けていると同時に、長年、パチンコホール業という業界が世間に持たれていたネガティブなイメージ(「脱税」「暴力団」「闇献金」など)を払拭し、堂々と胸を張れるような社風を作りたいという願いから多くの社会貢献事業にも取り組んでいる。スポーツ団体への支援や、最近では「世界の子どもにワクチンを」の募金活動も開始した。 そしてこの会社を作り上げた韓会長だが、1931年に韓国で生まれた韓氏は、15歳の時に日本に来日(密入国らしい)。法政大学を卒業するが韓国人に対する求職はなく、京都で義兄の営むパチンコ店で手伝いを始める。その後、義兄から店を譲り受けると店舗を拡大し、順調に売り上げを伸ばしたが、手を出したボウリング場ビジネスが失敗し、1972年当時の金額で60億円、現在の貨幣価値で1200億円もの負債を抱えてしまう。この時、韓氏は何度も自殺を考えたそうだが、必死に諦めずに働き続けると、遂にはその莫大な借金を全て返済。そして同じように危機的状況に陥っていた大分の状況を知り、かつての自分の姿に重ね合わせたそうだ。 インタビューでは、 「必死に頑張っている大分に情が移り、支援をしようという気持ちになった」ということや、 「2年間も支援してきて、クラブを経由して出ていってくれとJリーグに言われた時はやはり憤ったが、それでも大分にある人情や一生懸命さ、そして35万人もの人が、もちろんマルハンのためではなく大分のためにだが、マルハンを復活させてくれと署名してくれたことが支援継続に繋がった」ということなどが書かれている。 そんなインタビューを通して見えてきたのは韓氏の卓見だった。 民族と国籍の違いを説き、日本国籍を取得しながら本名で生活し、自分は朝鮮民族だと胸を張る。その上で、自分を育ててくれた日本に奉仕し、利益が出たら日本の社会に還元するのは当然と語り、社会に儲けを還元しない企業というのは、社会的な存在意義がないと言い切る。 また、社会への貢献(還元)ということに非常に積極的な姿勢を見せる韓氏は、 「ただ金を儲けてね、自分の家族、自分の親戚達が好き放題する、これは嫌いです。」 「私は、自分が生まれた韓国に対する感謝の気持ち、そして、やっぱり育ててくれた日本に対する気持ち、これはね、自分の利益の一割でもいいから還元してあげたい。」 とも語っている。 そしてサッカーについては、 「胸に名前が復活すれば、社員がまた喜んでくれるんです。ああ、うちのお父さんの会社だと、子ども達が誇りに思ってくれる。それだけです。」 マルハンは上で書いた約12億の支援の他にも、西日本の店舗で出す景品のタバコを全て大分市で一括購入している。これにより約2億のタバコ税が大分市に入り、間接的に大分トリニータの強化費に使われることを狙ってのものである。 しかし先日、このマルハンの想いも、署名を集めた「スポンサー問題を考える会」の想いも、署名を行った35万人の想いも裏切るような回答がJリーグからなされることとなった。 今年7月に35万人の署名と共に「スポンサー問題を考える会」からJリーグ側に提出された質問は以下の3つであった。 ・全国民間CMの厳しい審査もパス、プロ野球の世界では受け入れられているのにJリーグの胸スポンサーに何故に受け入れられないのか? ・ホール業は立派な産業として認知されているのにJリーグで産業差別を行ってよいのか? ・胸スポンサーになることにクラブも了承、サポーターも了承しているのにどなたが問題提起されているのでしょうか? これに対し、8月30日、「スポンサー問題を考える会」代表・宮明氏のところに、Jリーグリスクマネージメント担当職員から電話での口頭による回答があった。 「チェアマンの見解として、Jの各チームから胸スポンサーの見直しをしようという提案が多くなればやるが、今はまだやる気はない」 宮明氏は憤ったという。 当然だろう。質問には全く答えておらず、35万人の署名を完全に踏みにじった対応である。 そして「Jの各チームが」とまるで他人事のような口調。 この一連の問題はこんな形で切り捨てられるべき問題ではないはずである。少なくとも35万人への説明責任はあってしかるべきだ。 またこれは、拡大路線を掲げるJリーグにとって今後もついてまわる可能性のある問題だろう。 今現在、Jリーグ参入を目指しているクラブは経済的に豊かではない地方のクラブがほとんどである。そういったクラブを支援したいというスポンサーが現れた時、例えばその企業がもしも酒造メーカーだとしたらそれだけでスポンサーとして認めないというのだろうか(現在は酒造メーカーもスポンサー契約が禁止されている)。 Jリーグ拡大を目指しているのならばこのような事例に対し、一つ一つそのクラブの状況を汲み取った対応が必要なはずだ。特にそれが地域密着を目指すクラブならばなおさらである。 大分は今シーズン、見事な戦いぶりでJ1の優勝争いに加わっている。また、昨年の平均観客動員は19,759人。これは浦和レッズ・アルビレックス新潟・FC東京・横浜F・マリノスに次いでJ1で5番目である。さらに最近ではGK西川、DF森重、MF金崎など日本代表選手も多く輩出し、大分はかつてないほどの盛り上がりを見せている。 そんな大分がどれだけの人に支えられてきたのか。 Jリーグにはもう一度これらの事を認識した上でこの問題に対する見解を述べてもらいたいものだ。 やべ~、コラムっぽい(*^_^*) ただ、こんだけ情報を書くと間違いだったりがありそうなので、もし何か指摘があったらコメント欄にお願いします。 あとこのスポンサー問題について言いたいことがありましたらそれもコメント欄でどうぞ。 by infinity-j-info | 2008-10-03 21:13 | Jリーグ
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